JCF2022「がんサバイバーの声を聞こう!」での発表について

ジャパンキャンサーフォーラムセッション「がんサバイバーの声を聞こう!」からお越しいただいた方、ありがとうございます!

セッションで発表した内容についてあらためてまとめました。

私の実体験

私の趣味は旅行と山歩きです。趣味が高じて今は旅行と観光を専門に調査・研究やコンサルティングを仕事にしています。

2020年に乳がんに罹患して抗がん剤治療を受けている間も気分転換に旅行したいと思いましたがコロナ禍でワクチン接種もしていなかったので断念。ならば近場の高尾山なら屋外だし行けるのではと思い、ネットで検索してみてもあまり役に立つ情報は得られません。

大体が「主治医に相談」と書かれているばかりです。

抗がん剤治療の際に相談すると、「抵抗力が落ちてるから土を素手で触らないように手袋をするように」など有益なアドバイスをもらい、へろへろの身体ながらも高尾山に登ることができました。

また、治療中の私を励まそうと会社の上司が「治療が終わったら沖縄でダイビングのライセンスを取りに行こうと誘ってくれましたが、がん治療直後のダイビングについての情報は山歩きよりももっと見つかりませんでした。

手探りの状態で乳腺外科の医師にPADIフォーマットの診断書にサインをもらい、放射線科の医師からは「放射線治療の影響で肺にトラブルが出なければダイビングしてもよい」とお墨付きをもらい、心療内科の医師にも許可を得て、治療が終わった2ヶ月半後に髪が抜けて生え揃っていない頭はダイビング用のキャップで隠して無事ライセンスを取得することができました。

自分語りが長くなりましたが何が言いたいかというと、がん治療中や治療直後の旅行や山歩き、ダイビングなどのアクティビティについての情報はとても少ないということです。「主治医に相談」が必須ということは言うまでもないのですが、相談するにしても事前に下調べしてある程度計画を立てた上で相談した方が適切なアドバイスが受けられると思うのです。

現状と課題

がんは今や2人に1人がかかるといわれており、罹患するのは高齢者ばかりではなく私のような勤労世代も多くいます。そのため、がんサバイバーのための旅行やアクティビティに関する情報提供が少ないことで旅行をためらうサバイバーは多いのではないか?と思いました。

前述のとおり私は旅行・観光を専門として仕事をしていますので早速、国や自治体の政策や旅行業界の取組みを調べてみました。

まず国や自治体は「ユニバーサルツーリズム」や「バリアフリーツーリズム」の事業を通じて長年取組みをおこなってきています。

しかし、これらの事業の主なターゲットは障害者や高齢者です。がんのような疾患も対象には含まれてはいますが、具体的な施策の対象としては含まれていないのがほとんどでした。

実際に事業の担当の方にお話を伺ったところ、人数規模やニーズや課題などが見えないと対象としにくいとの声がありました。

そのため、まずはがんサバイバー当事者の旅行への思いやニーズ、課題などをまとめて、声を上げていくことが必要だと感じました。

そこで、がんサバイバーと旅行についての調査の事例について国内外の事例を調べてみると、国内では楽天メディカル社が調査した結果はありますが、研究として行われている事例はみつかりませんでした。

一方で海外ではいくつかの調査研究が報告されていることから、海外事例を参考にして国内で調査を行いたいと思い、現在準備を進めているところです。

調査協力のお願いとその後の活動方針について

調査はがん治療中の方と治療後の方を対象にする予定です。現在は海外の先行研究をベースに調査票を作成しているところです。まず少人数を対象にプレ調査を行い、調査票に問題がないかや改善すべき点はどこかを検証した後に本調査を行う予定です。

調査結果は論文として取りまとめ、学会への投稿を予定しています。

調査によってサバイバーの旅行のニーズや課題を整理することができたら、その後はそのニーズや課題を解決するための情報提供や環境づくりに取り組んでいきたいと考えています。

調査実施にあたっては、多くのサバイバーの方の声を伺いたいと考えています。また、医療関係者の方の意見やアドバイスもいただけると大変嬉しいです。

関心を持っていただけましたら、ぜひお気軽に問い合わせフォームTwitterからご連絡いただければうれしいです。ご意見、ご感想も大歓迎です。また、本サイトやTwitterで随時情報発信を行なっていきますので、フォローいただければと思います。

それではお読みいただきましてありがとうございました!